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近年、国際的な緊張が一段と高まり、地政学リスクが市場全体に強い影響を与える局面が増えている。
このような不安定な情勢下で、防衛関連銘柄が投資家の注目を集めるのは必然だ。
軍事予算の拡大、技術革新による新たな需要の発生、そして政府主導の大規模な調達契約など、防衛産業は今や単なる安全保障の一端を担うだけではなく、経済的にも大きなインパクトを持つセクターとなっている。
特に、精密誘導技術や無人化システムといったハイテク分野を持つ企業は、競争力の高いポジションを占めており、安定した収益基盤を背景に中長期的な成長が期待される。
この記事では、地政学リスクがどのように市場を揺るがしているのかを分析し、注目すべき防衛関連銘柄と、その中でも本命とされる銘柄をリストアップ。ポートフォリオに組み込むべき候補を探るヒントを提供する。
地政学リスクとは?
地政学リスクの定義と具体例
地政学リスクとは、国家間や地域間での政治的・軍事的な緊張や対立が原因となり、経済や社会に不安定さをもたらす要因を指す。このリスクは、外交政策の衝突、軍事的な衝突の可能性、国際的な制裁措置、さらにはテロリズムや内戦など、多岐にわたる事象に起因する。これらの出来事は、特定の地域だけでなく、グローバルな経済活動や貿易、サプライチェーンにも波及する可能性がある。
直近の具体例としては以下のようなケースが挙げられる。
ロシア・ウクライナ戦争
2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、典型的な地政学リスクの例である。この戦争は、エネルギー供給の不安定化や穀物価格の高騰を引き起こし、世界中でインフレを加速させた。また、NATOとロシア間の緊張が高まり、軍事支出の増加や各国の防衛政策の転換を促している。
中東地域の緊張状態
中東では、イランとイスラエルの対立や、湾岸諸国間の競争が継続的にリスク要因となっている。特にイランの核開発問題を巡る国際的な制裁や、ペルシャ湾での航行の安全確保に関する紛争は、エネルギー市場への影響を含めて注視すべき事象だ。
米中間の対立
米中関係の悪化も地政学リスクとして注目される。トランプ氏が大統領に再選し、中国への関税強化を示唆していることでさらに拍車がかかっている状態といえる。特に台湾を巡る問題は、軍事的衝突の可能性が指摘されており、半導体を中心としたサプライチェーンにおける混乱が懸念される。また、米中間の貿易摩擦やテクノロジー分野での競争も、長期的なリスク要因となっている。
北朝鮮のミサイル実験
北朝鮮による頻繁なミサイル実験も、東アジア地域の不安定要因として挙げられる。これにより、韓国や日本を含む周辺国の防衛政策が大きく影響を受けており、軍備増強の動きが活発化している。
これらの事例は、地政学リスクが単なる外交問題にとどまらず、エネルギー、貿易、安全保障など多岐にわたる分野に波及することを示している。こうしたリスクは、国際社会や経済活動全体に影響を及ぼし、短期的な危機だけでなく、長期的な構造変化を引き起こす可能性がある。
地政学リスクが株式市場や経済全体に与える影響
地政学リスクは、株式市場や経済全体に大きな影響を与える要因として無視できない存在だ。市場に不確実性が生じることで、投資家のリスク回避姿勢が強まり、安全資産への資金移動が加速するのが典型的な反応だ。これにより、株式市場では急激な価格変動が起き、特定のセクターや地域が深刻な影響を受けることがある。
例えば、軍事的な緊張が高まると、防衛関連銘柄やエネルギー関連銘柄などが買われる一方で、観光業や輸送業など地政学リスクの影響を直接受けやすい業種の株価は低迷する。また、エネルギー供給の不安定化が起これば、石油価格の急騰が消費者物価に波及し、世界的なインフレを加速させる要因ともなる。
さらに、貿易摩擦や制裁措置が伴う場合、サプライチェーンの混乱や関税負担が企業収益を圧迫し、経済成長全体にブレーキをかけることがある。特に輸出依存度の高い国や、特定の市場に過度に依存している企業は大きなダメージを受けるリスクが高い。
地政学リスクが顕在化すると、投資環境の不透明感が増し、長期的には経済活動全体の停滞を招く可能性がある。投資家にとっては、これらのリスクを適切に見極め、柔軟に対応する姿勢が求められるだろう。
防衛関連銘柄が注目される理由
近年、国際情勢の不安定化を背景に、防衛関連産業への需要が急速に拡大している。これは、各国が安全保障を重視する政策へと舵を切り、軍事力の増強を進める動きが加速しているためだ。背景には、地政学リスクの増大と技術革新が絡み合った複雑な構図が存在する。
まず、各地での軍事的緊張の高まりが大きな要因となっている。ロシアのウクライナ侵攻はその象徴的な例であり、多くの国々が防衛予算を増額し、軍事装備の更新や近代化に注力している。また、東アジアでは中国の軍事的台頭や台湾問題を巡る米中対立がエスカレートし、日本や韓国を含む周辺国での防衛力強化が急務とされている。これにより、戦闘機、艦艇、ミサイルシステムなどの調達が活発化している。
次に、技術革新が防衛関連産業の成長を支える重要な要素となっている。無人機(ドローン)、人工知能(AI)、サイバーセキュリティ技術、そして宇宙防衛システムなど、最先端のテクノロジーが防衛分野において不可欠な存在となりつつある。これらの技術は従来の兵器システムに革命をもたらし、新たな市場を創出している。特に、無人機や高精度誘導兵器は、コスト効率と戦術的優位性の両立が可能であり、各国の調達計画において優先順位が高い。
さらに、サイバー攻撃や情報戦の増加も、防衛需要を押し上げる一因である。現代の戦争は物理的な戦場だけでなく、デジタル領域でも繰り広げられており、国家の機密情報やインフラを保護するための防衛システムが求められている。これに応じて、関連企業が新たな技術開発やサービス提供を積極的に進めている。
注目の防衛関連銘柄の一覧
これまでの解説で今世界が置かれている状況と高まる地政学リスク、それに伴って注目を集める「防衛関連銘柄」に関心を持ってもらえたと思う。ここからが本題の防衛関連銘柄について触れていく。
軍事装備関連/防衛関連銘柄一覧
コード | 銘柄名 | 概要 |
---|---|---|
7011 | 三菱重工業 | ミサイル、航空機、艦艇、潜水艦など防衛装備品の製造 |
7013 | IHI | 航空エンジンやミサイル部品の製造 |
7012 | 川崎重工業 | 潜水艦やヘリコプターの製造。海上自衛隊向け艦艇や航空機 |
6208 | 石川製作所 | 機雷の製造など |
6302 | 住友重機械工業 | 機関銃部品や機関砲の生産・保守事業、子会社も火薬類などの防衛品 |
6503 | 三菱電機 | 航空機搭載レーダー、電子線機器、監視・管制レーダー、滞空レーダーシステムなど防衛装備品の製造・維持整備 |
6501 | 日立製作所 | 艦艇装備や自走迫撃砲・弾薬給弾車などの防衛車両・衛星画像・サイバーセキュリティ |
6702 | 富士通 | さまざまな防衛電子装置、防衛省における共通的なクラウドサービス・ネットワークの開発 |
6701 | NEC | 防衛管制システム、指揮統制システム、後方支援システム、レーダー情報処理システム |
7270 | SUBARU | 防衛省、米国ボーイング社向けの航空宇宙事業 |
7003 | 三井E&S | グループ会社が海上自衛隊向けに世界の高性能なSCBAやコンプレッサーの販売及び整備 防衛省向け業務支援 |
6023 | ダイハツディーゼル | 防衛省向けにも船舶・艦艇エンジンの納入実績あり |
7014 | 名村造船所 | 子会社「佐世保重工業」が海上自衛隊や米軍の艦艇、一般商船、海保の巡視船の修繕事業 |
6946 | 日本アビオニクス | 自衛艦に搭載される情報表示装置 |
5631 | 日本鉄鋼所 | 火砲システム、ミサイル発射装置など防衛機器の設計・製造・整備 |
4403 | 日油 | 防衛用火薬類などを製造 |
6203 | 豊和工業 | ライフル銃メーカー日本大手 |
4274 | 細谷火工 | 自衛隊向け照明弾や発煙筒 |
6111 | 旭精機工業 | 防衛省向けに弾薬を販売 |
7721 | 東京計器 | レーダー警戒装置・照準装置など防衛関連機器 |
6703 | OKI | 水中音響技術やセンサーを用いた監視サービス |
1443 | 技研ホールディングス | 電磁波や放射線のシールド施設 |
3896 | 阿波製紙 | 電磁波シールドシート |
7745 | A&Dホロンホールディングス | 計測機器メーカー大手 |
4275 | カーリット | ロケット用固体推進薬原料となる「過塩素酸アンモニウム」の国内唯一の製造メーカー |
8226 | 理経 | IT機器を輸入販売する技術商社。防衛関連機器の取り扱い |
3161 | アゼアス | 米国デュポン社製の防護服販売が主力 |
6838 | 多摩川ホールディングス | 高周波無線機器などの防衛関連製品 |
8093 | 極東貿易 | 航空宇宙・防衛向け光ファイバー |
3302 | 帝国繊維 | 子会社「テイセン産業」が防衛省向けの大型天幕やトラックの幌を製造 |
3201 | ニッケ | グループ傘下「ナカヒロ」が防護服や防刃エプロン・ブルゾンなどを手掛ける |
3409 | 北日本紡績 | 防護衣料など |
6706 | 電気興業 | 陸上自衛隊の通信で使用される各種空中線を提供 |
6469 | 放電精密加工研究所 | 放電加工を中心とする金属加工技術で航空宇宙分野にも部品等提供 |
5803 | フジクラ | グループ会社「藤倉航装」が救命胴衣・落下傘などの防衛装備を防衛省に納入 |
無人機(ドローン)関連/防衛関連銘柄一覧
コード | 銘柄名 | 概要 |
---|---|---|
5597 | ブルーイノベーション | ドローンやロボット活用業務に必要な機能をワンストップで提供するデバイス・データ統合プラットフォームを運営 |
3626 | TIS | グループのインテックがブルーイノベーションと資本提携 |
4375 | セーフィー | デバイスの映像をリアルタイムに伝送できるHDMI出力対応ルータ「Safie Connect(セーフィー コネクト)」を開発 |
6232 | ACSL | 同社の国産ドローンは防衛省航空自衛隊の空撮用ドローンとして採用 |
7911 | TOPPANホールディングス | ドローンを活用した屋内点検サービスを展開する企業と資本・業務提携を締結 |
6758 | ソニーグループ | 垂直離着陸型固定翼(VTOL)ドローン「新型エアロボウイング(AS-VT01K)」開発など |
3688 | CARTA HOLDINGS | 22年2月にドローンショー事業を展開するレッドクリフに出資 |
サイバーセキュリティー関連/防衛関連銘柄一覧
コード | 銘柄名 | 概要 |
---|---|---|
3692 | FFRIセキュリティ | 標的型攻撃に特化したサイバーセキュリティ製品の開発・販売 |
6050 | イー・ガーディアン | SNS等の投稿監視や運用支援が主力 |
3968 | セグエグループ | セキュリティーソフトやITインフラ製品を輸入・販売 |
3857 | ラック | サイバー攻撃監視に定評があり官公庁案件も豊富 |
4498 | サイバートラスト | 認証・セキュリティーサービスを主力展開 |
4493 | サイバーセキュリティクラウド | 世界屈指ともいえるサイバー脅威インテリジェンスとAI技術を駆使したサイバーセキュリティーの開発・提供 |
3040 | ソリトンシステムズ | サイバー攻撃対応のセキュリティー対策ソフトや認証システム開発などのシステム構築 |
2326 | デジタルアーツ | 情報漏洩対策ソリューションや閲覧制限ソフトの開発 |
防衛関連銘柄の本命株一覧
三菱重工業(7011)
防衛関連銘柄といってこの銘柄だけは避けられないだろう。
三菱重工業は、日本を代表する総合重工メーカーであり、防衛関連事業においても重要な役割を担っている。同社は、戦闘機、潜水艦、護衛艦、ミサイルシステムといった先端装備の開発・製造を手掛けており、航空・宇宙防衛技術を中心に高い技術力を誇る。また、自衛隊向けの装備品だけでなく、防衛省からの依頼に基づくメンテナンスや技術支援も行っており、その活動範囲は広範囲にわたる。
官公庁からの受注状況においても三菱重工業は圧倒的なシェアを持つ。令和5年度のデータでは1兆6800億円の受注を受けている。特に、次世代戦闘機の共同開発プロジェクトやイージス艦向けのミサイル防衛システムの設計・製造など、国家的な防衛戦略に直結する事業に携わっている。また、潜水艦の建造においても国内随一の技術を持ち、定期的な受注が見込まれる。
これらの事業は、国家の安全保障を支えると同時に、三菱重工業の収益基盤を支える重要な柱となっている。防衛予算の増加傾向が続く中、同社の事業展開は引き続き注目される。
日本アビオニクス(6946)
日本アビオニクスは、精密電子機器の開発・製造を専門とする企業で、防衛関連事業においても高い技術力を発揮している。同社は、航空機や艦艇に搭載される電子機器やシステムの供給を中心に事業を展開。特に、通信システム、レーダー機器、電子戦機器など、先端的な技術が求められる分野で活躍している。
防衛分野における代表的な製品には、航空機用の電子制御装置やデータリンクシステムが含まれる。これらは、自衛隊の航空機や艦艇の運用において不可欠な要素であり、高い信頼性と精度が求められる。同社は、これらの装備を通じて、日本の安全保障に貢献している。また、電子戦関連機器の設計や製造にも携わっており、現代の複雑な戦闘環境に対応するための技術開発を進めている。
日本アビオニクスは、官公庁との強固な関係を持ち、防衛省からの受注を継続的に獲得している。同社の技術力は国内外で評価されており、今後も防衛関連事業での重要な役割が期待される。
ACSL(6232)
ACSLは、産業用ドローンの開発と製造を主力とする企業であり、防衛関連事業にも注力している。同社は、高度な自律飛行技術と日本国内での開発・生産体制を強みとし、国産ドローンの需要増加を背景に、防衛分野への貢献を拡大している。
防衛関連事業では、監視や偵察、測量用途に適した無人航空機システムの提供を進めている。特に、センサーや通信機能を搭載したドローンは、広範なエリアの監視やリアルタイムの情報収集に適しており、自衛隊や関連機関による採用が進んでいる。また、危険な状況下での任務遂行が可能なため、救援活動や災害対応にも応用が期待されている。
さらに、ACSLは、サイバーセキュリティや通信の安全性を確保するための国産技術を重視し、政府機関や防衛省との協力を強化している。同社のドローン技術は、国内の防衛力向上に寄与するだけでなく、地政学リスクの高まりを受けた輸入依存からの脱却という側面でも注目されている。
サイバーセキュリティクラウド(4493)
サイバーセキュリティクラウドは、クラウド型セキュリティサービスを提供する企業で、防衛関連事業においても重要な役割を果たしている。同社は、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)をはじめとする高度なサイバー防御技術を強みとし、サイバー攻撃が増加する現代の脅威に対応するためのソリューションを開発している。
防衛分野においては、国家規模のインフラや重要施設の防護を目的としたサイバーセキュリティの提供に注力している。特に、政府機関や防衛省向けのセキュリティサービスを通じて、ネットワークやデータの保護を支援。また、クラウド環境におけるセキュリティ強化を実現し、オンライン化が進む防衛関連システムの安全性を確保している。
さらに、AIを活用した異常検知や自動応答機能を備えたセキュリティ製品は、迅速かつ効率的な脅威対応を可能にし、防衛分野での利用価値を高めている。サイバーセキュリティクラウドは、サイバー戦の重要性が増す中で、国内外の安全保障における重要なプレーヤーとしての地位を確立している。
ラック(3857)
ラックは、サイバーセキュリティ分野で日本を代表する企業の一つであり、防衛関連事業にも積極的に取り組んでいる。同社は、政府機関や防衛省向けに高度なセキュリティソリューションを提供し、国家規模のインフラ防護や重要情報の保護を支援している。
特に、ラックが手掛ける防衛関連事業の中心には、サイバー攻撃の予防・検知・対処を行うセキュリティオペレーションセンター(SOC)の運営がある。このSOCは、24時間体制でネットワークを監視し、異常な活動や潜在的な脅威を早期に発見して迅速に対応する仕組みを構築。自衛隊や政府機関においても採用されており、高度なセキュリティ環境を提供している。
また、サイバーセキュリティ演習や教育プログラムの提供を通じて、防衛分野における人材育成にも貢献。AIや機械学習技術を活用した新しい防御手法の研究開発も進めており、次世代のサイバー脅威への対応能力を強化している。
まとめ
今回は地政学リスクとそれと密接な防衛関連銘柄について解説してきた。
緊迫した世界情勢が続き、2025年早々にも第二次トランプ政権が誕生する。国家間の対立関係はさらに激化する様相を呈している。
高まる地政学リスクを受けて投資家たちはどのような視点で相場と向き合うのか、その時に防衛関連銘柄は避けては通れないはずだ。
株式投資初心者であってもインパクトのある「防衛関連銘柄」というセクターを注視し、情報を集め、トレンドに乗ることがキャピタルゲインを得るキーポイントになるだろう。