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- 『トヨタ自動車、次世代EVで"ギガキャスト"導入を検討。部品点数と工程数の削減を狙う。』
- 『リョービが電気自動車の新しい生産技術"ギガキャスト"生産に参入。』
日本の大手自動車メーカーをはじめ、アルミダイカスト部品メーカーが「ギガキャスト」と呼ばれる、EVの新しい生産技術の導入に乗り出しているのをご存じだろうか?
ギガキャストとは、大型車体部品を一体成形させる技術のことで、従来あった車体パーツの製造法とくらべて、製造コストを劇的に削減できるのが大きな特徴だ。そのため、
導入が進めば「EVの生産革命が本格化する」とも言われている。
アルミダイカストを手掛ける大手自動車部品メーカー「リョービ」「アーレスティ」の値動きに注目した方も多くいるのではないだろうか。
そこで今回の記事では、激化するEV競争のキーパーツ「ギガキャスト」について、国内外の自動車メーカー導入の動きをはじめ、ギガキャスト関連銘柄の一覧、本命・出遅れと見られる個別株の情報などをご紹介する。
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ギガキャストとは?自動車の車体部品を一体成型する新技術。
まず、ギガキャストとはどのような技術なのか?
簡単にいうと、クルマの車体部品を大型の装置で一体化して成形する技術のことだ。アルミダイキャストと呼ばれる鋳造法で、溶かしたアルミ金属を流し込んだ金型を圧入して成型する。(ミニ四駆のシャーシを分解したイメージに近い。)
出展:EV TIMES
従来の車体製造は、別々につくられた車体部品を溶接などでつなぎ合わせて成型していたが、ギガキャストは従来工法にあった膨大な工程をワンプレスで完結できる。これによって、製造コストを劇的に削減することができる。
では、このギガキャスト導入をめぐって、海外の自動車メーカーはどのような動きをしているのか?また、導入のメリットとは?日本を代表するトヨタ自動車の方針などを見てみよう。
米テスラはギガキャストと同様の技術を2020年から先行採用!主力EV「モデルY」で実用化。
出展:テスラ ジャパン
ギガキャスト導入をめぐって、まず先行したのはEV市場で圧倒的な地位を確立した「米テスラ」だ。
米テスラは2020年、ギガキャストと同様の技術(メガキャスティング)を先行採用。主力EVの「モデルY」のフロント部のパーツで実用化されている。これまで約70点で構成されていた部品が1点に短縮。約1000台あったロボットが300台削減されたとのこと。
つまり、ギガキャスト導入によって、製造コストをとんでもなく削減できてしまうのである。
当然、海外をはじめ国内の自動車メーカーも導入に乗り出す動きをみせる。
先陣をきったテスラに追従して、中国メーカー、米GM、欧州勢、ボルボ、フォルクスワーゲンなどが採用を表明。そして、トヨタ自動車もギガキャスト採用の方針を発表する。
ギガキャスト導入のメリット
- 車体パーツを一体成形できる
- 大幅なコスト削減が見込める
- 製造スペースを少なくできる
- 内製工程・仕入れ先を少なくできる
- 品質保証をひとつのパーツに注力できる
一方、デメリットの側面をみると、「設備投資が高い」「運搬車両が少ない」「輸送費が高い」「設計・生産エンジニアが少ない」といった点があげられる。
トヨタ自動車も2026年発売の次世代EVから"ギガキャスト採用"の方針。
トヨタ自動車は2023年7月4日、2026年に投入を予定している次世代EV(電気自動車)から、ギガキャストを採用する方針と発表。
「クルマの未来を変えていこう」をテーマにした技術説明会「Toyota Technical Workshop」において、ギガキャストを採用した車体の新モジュール構造を打ち出し。大幅な部品統合を実現することで、車両開発費・工場投資の削減、工程と工場投資を半減するとしている。
さて、ここで注目したいのが自動車部品を手がける企業、とくに「アルミダイカスト部品を手がけるメーカー」の動きだ。ギガキャスト関連銘柄の本命とされる「リョービ(5851)」、大手アルミダイカストメーカー「アーレスティ(5822)」の値動きをみてみよう。
国内アルミダイカスト部品メーカー・ギガキャスト関連銘柄とは?
トヨタのギガキャスト採用も話題になったが、それを上回って市場の関心を集めたのが、7月9日付けの日経新聞「リョービ、「ギガキャスト」参入 EV供給網改革に対応」という報道。
その翌日、リョービは日経新聞社の報道は当社発表ではないとするものの、ギガキャスト導入を検討していることを公表。2023年7月11日「大型一体成形ニーズに応える「ギガキャスト」を始動」と発表する。以降、ギガキャスト関連の主力銘柄として注目を集める。
また同時に、自動車業界を主要顧客とするダイカスト総合メーカー「アーレスティ(5852)」もギガキャスト関連株として注目されている。
リョービ(5851)
【ギガキャスト始動】専業ダイカストメーカーとして日本初、6,000トンクラスのダイカストマシンの導入を決定。
リョービ(5851)は、広島県府中市に本社を置く世界的なダイカストメーカー。自動車用の部品生産を主力に、軽量で耐久性とリサイクル性に優れたアルミダイキャストの製造が強み。
リョービはこれまで、エンジンやトランスミッションケースといった大型アルミ鋳造部品を幅広く手掛け、国内に留まらず海外の自動車メーカーに供給してきた実績がある。そこに、ギガキャスト始動を発表した。当然、話題性・材料性のインパクトは強い。
「トヨタのギガキャスト採用」+「リョービのギガキャスト参入」、この二つがポジティブな材料となって2023年9月13日現在、連日高値を更新して新高値更新を目前にまで買われている。
リョービ(5851)に対する投資家の反応・SNSのクチコミ
これからも浮上がありそう
これからも浮上がありそうな銘柄
— 株情報・株トレード日誌 (@seigo77) September 6, 2023
7261 マツダ
5851 リョービ
7272 ヤマハ発動機
3774 IIJ
9069 センコーHD
2533 オエノンHD
1662 石油資源開発
4689 ZHD
5981 東京製綱
1433 ベルトラ
5032 ANYCOLOR
ギガキャストもあるしまだまだ上がって欲しい
リョービ(5851)3000円突破しましたね!
— かなま (@GV79685) September 6, 2023
ギガキャストもあるしまだまだ上がって欲しいなぁ。#株初心者#投資#投資初心者さんと繋がりたい #投資家さんとつながりたい
リョービが急動意
リョービ<5851>が急動意、8月中旬以降はジリ高基調にあったが、目先25日移動平均線を足場に大陽線で上放れてきた。自動車業界を代表するトヨタ自動車<7203>の電動化戦略に耳目が集まるなか、得意とするハイブリッド車の売れ行きが国内外で好調だ。
— うみ ???? (@268i54zyuO4A14C) September 6, 2023
アーレスティ(5852)
ギガキャスト関連株として「参入の可能性」から注目度を高める。
リョービと共に、国内ダイカスト部品メーカーとして注目されているのが「アーレスティ」だ。
アーレスティ(5852)は、主に自動車のエンジン、トランスミッション、足回り、ボディーなどに用いられるアルミダイカスト製品を製造・販売する企業。世界6か国で大手自動車メーカーへ部品を供給する数少ない国内企業とされている。
アーレスティは、7月に行われた株主総会における質疑応答にて「ギガキャストの方向性」を問われた際に、
『アルミダイカストがEVの車体構造部品として適用されることへの大きな可能性を感じている。』とした上で、『クリアしなければならない課題が複数あるため、引き続き状況を注視しながらギガキャスト導入の要否を判断したい。』と回答している。
アーレスティ(5852)に対する投資家の反応・SNSのクチコミ
高値更新、トレンド良好
5852アーレスティ
— 風の丸山 (@kaze_maruyama) September 19, 2023
高値更新
大台替え目前に迫る。
トレンドは良好。
気になった銘柄
9/19本日気になった銘柄
— 鷹ぽん (@Takaponpon81) September 19, 2023
5852 アーレスティ
6317北川鉄工所
5070ドラフト
ギガキャスト関連銘柄
トヨタ自動車(7203)が報道陣にギガキャストの試作現場を公開した。
— 豆山くん (@mameyama_kun) September 19, 2023
従来は86の板金部品で33工程を経て作っていた車体を1度の工程で作る。
2026年に発売するEVから採用し、開発費を従来の半分にする。
ギガキャスト関連銘柄:
リョービ(5851)
アーレスティ(5852) pic.twitter.com/13pxzUjyhQ
ギガキャスト関連銘柄(ダイカスト・自動車部品銘柄)の一覧・まとめ
ギガキャスト関連銘柄とは、ギガキャスト導入を検討する自動車メーカー、またダイカスト(自動車部品)メーカー、それらに係る関連企業のことだ。
トヨタ(7203)、ホンダ(7267)といった大手自動車メーカーの他、先ほどご紹介したリョービ(5851)アーレスティ(5852)など、ダイカスト部品を手がける関連企業も多い。その中から、ギガキャスト関連銘柄としてピックアップしてご紹介する。
トヨタ自動車(7203) | 2026年以降の次世代EVからギガキャストを採用する方針。トヨタのEV戦略によると、次世代BEVを26年から市場に投入。30年までにBEVのグローバル販売台数で年間350万台を目指す。 |
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ホンダ(7267) | 2020年代後半以降に投入する「MFD-BEV」と名付けた次世代EVのラインナップを準備。トヨタに類似した3つのモジュールで形成する新ラインが適用される見通しで、ギガキャストの導入が検討されている。 |
リョービ(5851) | 専業ダイカストメーカーとして日本初、6,000トンクラスのダイカストマシンの導入を決定。約50億円を投じて、静岡県の菊川工場に新建屋を建設。2025年3月に稼働させる予定。 |
アーレスティ(5852) | リョービと並ぶ、国内トップダイカスト部品メーカー。世界6か国で大手自動車メーカーへ部品を供給する数少ない企業ということもあり、ギガキャスト参入への期待が高まる。 |
アイシン(7259) | トヨタ系の自動車部品メーカー。2023年9月14日に開かれた「中長期事業戦略説明会」にて、成長戦略の一つとしてギガキャスト導入を明らかにした。2025年度に売上高5兆円を目指す。 |
大紀アルミニウム工業所(5702) | アルミニウム二次合金地金の製造・販売を手掛ける国内で高いシェアを誇るメーカー。アルミ原料をリョービに供給。13万株の株式も保有する(2023年3月時点) |
大同メタル工業(7245) | 自動車、船舶、建設機械、一般産業向けなど、さまざまな分野で使用される「軸受(ベアリング)」を生産・販売している世界で唯一の「総合すべり軸受メーカー」。EV用アルミダイカスト部品の生産能力を増強、タイに工場新設。 |
長野計器(7715) | 圧力計や圧力センサーを中心とする各種センサーなどの精密機器の開発、製造、販売をする企業。FCVの水素ステーション用に高性能な圧力計や圧力センサーも生産。トヨタ自動車の新型FCV「MIRAI」に同社開発の冷却関連センサーが採用された実績あり。 |
エイチワン(5989) | 埼玉県さいたま市に本社を置く自動車部品などの製造、販売を手掛けるメーカー。自動車フレームが主力製品。ホンダ系の車体骨格部品を手掛け、ホンダのほかダイハツ、日野、三菱、トヨタ、日産などにも供給。 |
UBE(4208) | 化学製品、成形機械などを製造するメーカー。機械事業を受け持つ子会社「UBEマシナリー」がギガキャストの製造装置を日本で初めて実用化している。ギガキャスト対応の大型ダイカストマシンをリョービから受注を受けている。 |
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ギガキャスト関連銘柄の本命・出遅れ株とは?
最後に、ギガキャスト関連銘柄の本命株、また出遅れ株についてご紹介する。
筆者の主観的な感想を交えたモノなので、参考程度に留めておいていただきたい。
ギガキャスト関連銘柄の本命株【3選】
トヨタ自動車(7203)
ギガキャスト関連銘柄をけん引する一番の存在といえば「トヨタ自動車(7203)」だ。
中国勢、テスラに大きく遅れを取ってしまったが、トヨタをはじめ国内自動車メーカーは新たなEV戦略を打ち出し巻き返しに躍起である。そのEV戦略のキーパーツを担うのが「ギガキャスト」を採用した新モジュール構造だ。
ギガキャストを採用した生産工程の1/2まで短縮し、開発費と工場投資も1/2まで大幅に下げる狙い。今後もトヨタを中心としたギガキャスト関連の新たな材料発表がされるはず。引き続き注目していただきたい。
リョービ(5851)
もはや多くを語る必要もないはず。
国内大手ダイカストメーカーで一早く「ギガキャスト始動」まで踏み切ったグローバルサプライヤーが「リョービ(5851)」だ。ギガキャスト関連銘柄の大本命とみていいだろう。
前述したように、専業ダイカストメーカーとして日本初、6,000トンクラスのダイカストマシンの導入を決定。また、9月14日には、産業機械メーカーのUBEマシナリーへ、型締力6,500トンのダイカストマシンを発注。菊川工場(静岡県)に新建屋を建設し2025年3月に稼働させる予定だ。
アイシン(7259)
アイシンは、自動車部品、エネルギー・住生活関連製品を手掛ける大手メーカー。トヨタ系の自動車部品(主に駆動系)を手掛ける。
2023年9月14日に開かれた「中長期事業戦略説明会」にて、バッテリー式電気自動車(BEV)など、成長領域への事業シフトの一環として、『部品点数低減を実現させるために"ギガキャスト"を活用した機能統合ボディー部品を企画・提案』、ギガキャスト導入を明らかにした。
今後3年間で収益力強化や資産圧縮を進め、2025年度には売上高5兆円を目指す。(ギガキャストでは30年度:2000億円を目指す)トヨタ系の自動車部品を手がける大手メーカーだけあって、アイシンの今後にも注目したい。
ギガキャスト関連銘柄の出遅れ株・大穴株【4選】
アーレスティ(5852)
リョービと並ぶ、国内トップクラスのダイカスト部品メーカーの「アーレスティ(5852)」にも注目したい。
7月に行われた株主総会での質疑応答にて、ギガキャストの大きな可能性を感じているとコメント。導入に向けては慎重な姿勢を見せるものの、投資家の感心が高いことを裏付ける内容である。
ギガキャスト関連の「トヨタ」「リョービ」が先駆する動きを見せているが、今後、アーレスティにも大きなビジネスチャンスが巡ってくる可能性も十分考えられる。
大同メタル工業(7245)
大同メタル工業(7245)は、自動車分野を中心にグローバルに展開する世界で唯一の総合すべり軸受メーカー。
自動車エンジン用すべり軸受、大型船舶のエンジン用軸受など、複数の製品で世界トップシェアを確立。アルミダイカスト製造を手掛ける子会社「ATAキャスティングテクノロジージャパン」では、自動車向けダイカスト製品を生産・販売を展開する。
EV用アルミダイカストを長年手掛けてきた高い実績から、ギガキャスト関連のニュースが刺激材料となることも。
エイチワン(5989)
エイチワン(5989)は、埼玉県さいたま市に本社を置く自動車部品などの製造、販売を手掛けるメーカー。ホンダ系の車体骨格部品を主力としている。
ギガキャスト導入を検討するホンダのアンダーボディー骨格部品を主力とするため、今後のギガキャスト関連ニュース、またホンダの動きが刺激材料となる可能性が考えられる。
UBE(4208)
UBE(4208)は、化学製品や成形機械などを手掛ける大手総合化学メーカー。
グループの機械事業の中核会社「UBEマシナリー」が、ギガキャスト対応の超大型ダイカストマシンをリョービ(5851)から受注。(国内のダイカストマシンメーカーとしては初。)
ギガキャスト始動を発表した「リョービ」、超大型ダイカストマシンの製造装置を手掛ける「UBE」、ギガキャスト関連の動きとしてこの2銘柄は引き続き注目したい。
まとめ:ギガキャスト導入による"EVの生産革命"は始まったばかりだ!本命・出遅れを合わせた"ギガキャスト関連銘柄"の値動きに注視して欲しい。
「ギガキャスト関連銘柄」について、ギガキャストとはどのような技術なのか?また、国内外のギガキャスト実用化の動き、そして関連銘柄と本命・出遅れ株を紹介してきた。いかがだっただろうか?
新たなEV戦略でテスラをはじめとする海外勢に巻き返しを図るトヨタ。そして、そのEV戦略の要となるキーパーツ「ギガキャスト」にいち早く参入したリョービ。
ギガキャスト導入による"EVの生産革命"は始まったばかりだ。関連性が深く今だ鳴りを潜めた出遅れ期待銘柄も数多くあるだろう。引き続き、ギガキャスト関連銘柄の値動きに注視してほしい。